株式会社MIST solution|田代 貢一郎

若い時期は様々なことに挑戦したいと思う人も多い。しかし、20代ほど仕事で身に付けた「やり切る力」が将来の糧になる。キャパを超える仕事をやり切った経験が、いまも事業をスケールさせている。

若い人ほど「やりたいことが見つからない」「仕事が好きになれない」と悩んでいる人は多い。ところが、実際には好きな仕事が見つかるほうがレアケースと、株式会社ミストソリューションの田代貢一郎会長は話す。20代の社会人、就職を控える学生に向けて大切な思考をお聞きしました。

田代 貢一郎(たしろ こういちろう):1976年、東京都出身。高校を卒業後、燃料会社での勤務を経て、父親が立ち上げた「株式会社経営情報システム総合研究所」を引き継ぐ。2008年「株式会社MIST solusion(ミストソリューション)」に商号を変更。情報処理サービスを主軸に、Jリーグ・ヴァンラーレ八戸のサポートやラジオ局の代表なども務める。

キャパオーバーの作業が、仕事人としての土台を形成した

─元々はお父様の会社を受け継いだそうですが、前職はどのような仕事をされていたのでしょうか

ガソリンスタンドを運営する燃料会社です。当初は本社勤務でしたが、人員不足だったのでガソリンスタンドに出勤してました。父から引き継いだ会社はシステム開発が主軸なので、まったく知識のない業界だったんですね。どうにかしなくてはと思い、金融系企業の情報システム部に在籍させてもらって仕事を覚えました。

─引き継いだ会社を運営しつつ、別の会社でシステム開発の受託もしていたと

かなり忙しかったですが、それでも精神的には楽な面もありました。父は社員を一人しか雇っていなかったので、経営的には二人分の利益が確保できれば良いわけです。ただ、出向先の業務は大変で、あらゆる部署から「これをシステム化してくれ」と注文される。また、私は頼まれると断らない性格なこともあり、多いときは60以上の案件を抱えてしまうことも(笑)。スケジュール帳を確認するためだけに会社へ向かうこともありましたね。

「若い頃は膨大な案件を抱えることも珍しくなかった。おかげでどんな仕事も苦痛と感じなくなりました(笑)」と話す田代氏。

─自社の経営をしながら出向先での膨大な案件を並行していたと。改めて振り返るといかがですか

客観的には異常かもしれないですね。ただ、通常では抱えきれない量をやりきった経験は、決して無駄ではなかったと思っています。年齢を重ねると、そもそも体力的に無茶は厳しい。また、結婚したり子どもが生まれたりすると、物理的な可処分時間も少なくなります。結果的に「頑張りたくても頑張れない」状況になってしまうんですよね。ですから、成長したい人は若い時期にキャパを超えるような経験したほうが良いと思っています。

大人になって語学の必要性を実感

─「超20代」メディアは、若い世代や学生の読者がいらっしゃいます。改めて、田代さんが学生時代や若い頃に学んでおけばよかったと思うことはありますか

ありがちですが英語ですね。私が若い頃は景気が良かったので、日本の経済圏だけで事業をしていても問題ありませんでした。国内での存在価値を見出せれば良かったわけですから。ところが、日本経済が停滞すると海外への施策も必要になってきますので、やはり語学力は必須だと痛感します。

─田代さんが事業を行うなかで、英語が必要に迫られる場面があったのでしょうか

私の場合サッカー事業に携わってるので、例えば海外のクラブチームなどでプレゼンする場面に遭遇します。やはり通訳を通すと自分の言葉ではなくなりますし、なにより本当の熱量が伝わらないと思うんです。いまも英語は学んでますが、やはり若い人より吸収も遅いし、割ける時間も経営の片手間になってしまう。時間を無限に投下できる若い時期に英語を学んでおくべきでしたね。

やり切る力を身に付ければ、好きなものが見えてくる

─20代のビジネスパーソンや、これから社会人になる学生に向けてアドバイスがあればお願いします

20代は「やり切る力」を身につけたほうが良いと思います。いろいろ試したいからと転職をくり返す人もいますが、あまり私はおすすめしません。仕事というのは2、3年でわかるものではないので、若い時期ほど腰を据えたほうが良いと思っています。

─やりたい仕事に就きたいと考える若い世代は多くいます。お父様の会社を受け継いだ田代さんとしては、職種や業態への好き嫌いについてどう考えますか

好きな仕事に就けるのは理想ですが、「この仕事が好きでたまらない」と初めから思える人はレアケースですよ。普通はそこまで好きというより、「こんな感じの仕事がいい」という程度でぼんやりしているはず。だからこそ、よほど嫌いでない限り「やり切る力」を身につけたほうがいい。「やり切る力」は、よりキャリアアップする30代でも使える武器になるんです。

「20代は社会経験が少ないので、そもそも好きと感じられる仕事の幅が狭い。スキルや経験値を積めば、自然とやりがいを感じる仕事に出会えるんです」

─かつて60案件をやりきった経験からも、仕事は「好き」と「やりがい」を混同しないほうが良いという印象を受けます

おっしゃる通りです。また、好きな仕事と同じで、やりがいも人それぞれだと思っています。私のようにキャパを超える案件をやり切るでも良いですし、起業でも社内での出世だってどれも悪くないですよね。「やりたい仕事」と言うと表面に意識が向きがちですが、必ずしもそうではないということです。他人と比べずに、純粋に自分が楽しめる要素を追うだけで良いと思います。

若い時期は、やりたいことを見つけるために色々な仕事をしたいかもしれない。しかし、田代さんは若い時期こそ最後までやりきる力をつけることが重要と語っていました。ひとつのことをやり切る中で、のちに武器となるスキルや経験値を身に付ける時期と捉えても良いのかもしれません。

会社名株式会社MIST solution
住所東京都千代田区神田西福田町4番地 D’sVARIE神田ビル4F 
代表田代 貢一郎
設立1997年9月1日
Webhttps://www.mistnet.co.jp/index.html
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