Scalably株式会社|山本 純矢

「やり始めたら最後までやり切る」を軸に突き進んだ大学時代。思い通りの結果にならなくても、やり抜いたからこそたどり着く気づきがある。

山本 純矢(やまもと じゅんや):兵庫県出身。青山学院大学 国際政治経済学部を卒業後、IT企業にて2年半の勤務を経験。2012年から東南アジアにてIT事業を開始し、2015年にはブロックチェーン専門の研究開発所を設立。350名を率いるアジア最大のブロックチェーンセンターに成長させる。Web3時代におけるコミュニティの進化に着目し、2021年にグローバル展開を広げるコミュニティテック企業Scalably(スケーラブリー)を創業。

「やりたいことがわからない」「興味はあるけど失敗したらどうしよう」このように不安に感じる人は少なくありません。しかし、学生時代は意外に短いもの。社会人が始まって「やっぱりやっておけばよかった」と思っても手遅れです。スケーラブリー株式会社の山本純矢氏は、自分の気持ちに従い行動しさまざまな気づきを得られたそうです。そんな山本さんに悔いのない20代を送る秘訣を聞きました。

始めたことを最後までやり切る力

─山本さんが、学生時代の経験で良かったことや現在に活かされていることはありますか

自分でやりたいと思ったことを最後までやりきったことです。最終的に「自分にはできない」という結果でも、やり切ったと感じるまでやめないことに大きな意味があります。例えば、私はオンラインゲームや映画が好きなので、いつかは自分で制作したいと思っていました。そこで、大学に通いながら週末を利用してコンピューターグラフィックス(以下、CG)のスクールにも通っていたんです。ただ、当時は学習コストが非常に高額で、専用のPCとソフトを買わなければいけませんでした。

─現代のように数千円のサブスクで学べるシステムなど存在しなかった時代ですね

おっしゃる通りです。PCとソフトで150万円以上だったのですが、どうしても学びたかったので祖母を説得して借金しました。ところが実際に学び始めてみると、CGをいくら学んだところで、映画もオンラインゲームも作れないとわかりました(笑)。

─リサーチ不足といえばそれまでですが、当時は情報もあまり出回っていなかったジャンルでもありますよね

ただ、まったく意味がなかったわけでもなかったんです。3年生のときに映像制作を行う美大生のインカレ団体を見つけ、頼み込んで仲間に入れてもらいました。その内部はCGと手描きアニメーションと実写映像に分かれていて、私はCGの指導者として活動したんですね。

本気で取り組めば無駄になる行動はない

─CGを学んでも映画やゲームを作れるようにはなれなかった。ただ、当時としては貴重なスキルを手にしていたと

おっしゃる通りですし、同時に大きな気づきがありました。いくらPCを使えるからといって絵や映像のセンスは美大生には叶わないんですよね。それなら無理して私がやる必要もなく、彼らに依頼したほうが良いものが作れるはずだと。ただ、コンテンツや表現する面白さは、幼少期のゲームや映画で感じてたので、運営側として関わるためにビジネスの勉強を始めることにしました。

「CGを学んだことで当初は想定していなかった気づきがあり、同時にたくさんの出会いや機会にも恵まれました」

─なるほど。「CGを学び切る」「インカレ団体でやり切る」すべてやり切ったことでたどり着いたということですね

そうなんです。自分でやりたいと思って始めたことは最後までやり抜くようにしています。仮にネットの情報で知れることがあったとしても、体験する価値は必ずあります。やり切ることでの気づきはもちろん、やり切る力そのものも非常に重要なスキルだと思います。

海外の文化やシステムでこそ得られる経験

─では反対に、学生時代に学んでおけばよかったと思うことはありますか?

1年2年という長期スパンの留学を経験しておけば良かったですね。私の周囲には海外生活をした人が多く、そもそも外国人の方もたくさんいます。もし、大学生の時点で一定以上の英語力があれば、あらゆることをもっと広い視野で判断できたでしょうね。

─短期留学とはいえ、山本さんは貴重な体験をされています。やはり海外へ出る価値はあると思われますか

なるべく若いうちに海外へ出たほうが良いと思います。日本にいる限り一国のシステムにしか触れないので、限られた価値観に陥りやすいんですね。ですから、異なる文化やシステムに身を置いて新しい機会や価値観に触れることが重要だと思います。

興味があることは積極的に体験する

─最近では「やりたいことが見つからない」という悩みを持つ人が増えています。山本さんは、この「やりたいこと」の見つけ方についてどう考えていますか

好きなものとの向き合い方もあると思いますが、興味があるものは積極的に体験してみる。実際に触れてみて、その後の展開を考えながら行動すれば良いと思います。というのも、好きなことであっても毎日続けられるかは人それぞれじゃないですか。私の場合は、ゲームにハマると飲まず食わずでゲームをするような子どもでした。ですから、実際に触れてみるまでどれほど好きかわからないし、思いがけない「好き」に出会う可能性だってありますから。

─山本さんもCGに触れたことで指導側にもなり、デザインは叶わないからビジネスを学ぶという次のフェーズに入りました

まさにその通りです。興味はあっても触らなかったり、ネットの情報で知ったつもりになったりではたどり着かなかった展開でした。映画やゲームが好きだからCGを学んでみた。結果的に間違った選択かもしれませんが、行動のおかげで今に繋がった要素は大きいですね。

「やりたいことがあるなら、あまり深く考えずに触れたほうがいい。違うと思ったら次へ次へというスピード感のほうが重要」

─最後に、これから社会へ出る学生や20代の人たちへのメッセージをお願いします

ひとつは海外へ出ること。もうひとつは、可能な限り早いペースで行動したほうが良いです。行動するまでなにが上手くいくかはわかりませんし、数を経験しないとわからないこともあります。例えば、経験した母数が1しかないと、比較するデータがないので狭い視野でしか物事を見られません。一方、比較できる経験の母数が100あれば、その1が良い理由は明確になるわけです。ですから、 日頃からスピード感を持って行動することをおすすめします。


─多くの人は、行動する際に「間違いではないか」「効率的なのか」と事前に正解を求めてしまうことがあります。しかし今回の山本氏のように、当初の目的とはズレていたとはいえ、CGを学んだことでたどり着いた気づきを重要視されています。あまり正解を求めすぎず、興味のあることは積極的に触れてみることが大切なのかもしれません。

会社名Scalably株式会社 (スケーラブリー)
住所東京都港区虎ノ門4丁目1-6 第二大石ビル 5階
代表山本 純矢
設立2021年5月
Webhttps://scalably.com/
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