「この会社は違う」と心から感じるなら、恐れずに転職してもいい。やらずに後悔するよりも、本当にやりたいことに挑戦する。他人がどんな意見を言おうと、人生は自分だけのもの。
若いビジネスパーソンや学生のなかには、失敗を恐れて自ら行動にブレーキをかけている人も多いのではないでしょうか。行動には勇気が必要ですし、時には良い結果にならないこともあります。しかし、動かない限りは思い描くキャリアを形成することもできません。そこで当記事では、株式会社バディカの中野優作さんが継続されている“攻めの姿勢”についてお聞きしました。
中野優作(なかの ゆうさく):香川県さぬき市出身。16歳で建設作業員となり、不動産事業、中古車販売大手でキャリアを積む。2017年に中古車販売のBUDDICA(バディカ)を創業し、わずか3年で四国での販売実績1位を達成。さらには業販の販売実績が日本一となり、オートサーバー(最大手業販サイト)にて「5ツ星認定」を獲得。2023年8月、「クラクションを鳴らせ!変わらない中古車業界への提言」(幻冬舎)を出版し、中古車販売の流通革命を目指す。
課題に向き合ったことで、やりきる力が身についた
─中野さんが若い頃を振り返って、現在の仕事に活かされていることはありますか
課題から逃げない姿勢だと思います。私は16歳で土木の仕事に就き、次第に現場監督として働くようになりました。当然、職人の中には荒くれ者もいて「年下の若い兄ちゃんが何を言ってんねん」という感じで、思い通りに動いてくれない人もいます。伝え方や接し方に苦労しながらも、自分に与えられたチャンスととらえ、現場をコントロールしていました。おかげさまでコミュニケーション力が鍛えられましたし、やりきる力として現在にも活かされています。
─大変な現場の仕事を辞めて、別の仕事を探そうとは思わなかったのでしょうか
思わなかったというより、「選択肢が無かった」が正しいかもしれません。現代は直接コミュニケーションせずに済む仕事もあるし、嫌なら逃げることもできます。一方、私が若い頃は学歴ありきの時代で、高校中退では選択肢が無かったんです。その頃からだと思いますが、ピンチから逃げないというか、困った時ほど前に出てやると思うようになりました。
攻めの姿勢が、結果的にリスクの回避に繋がる
─あらゆるメディアを見ていても、中野さんは攻めの印象がとても強いです
逃げても大半が良い結果にならないからだと思います。例えば私はスノボーが好きなんですが、ビビって腰が引けてる人ほどケガをしやすいんです。一方、怖くても覚悟を決めて攻めたほうが、受け身を取りやすいからケガをしにくい。プライベートも仕事も同じで、攻めの姿勢こそが良い道を切り拓くと思っています。
「逃げたところで成長しないし、何回も同じような課題にぶつかります。そういう意味でも、その場ごとに解決したほうが成長も速いですよ」
─理屈ではわかっていても、いざ攻める際に不安や怖さなどは無いのでしょうか
今でもめちゃくちゃ怖いです(笑)。以前、楽天の三木谷さんの記事の中に、「やらなかったことを後悔したくない」という言葉がありました。うまくいくかどうかより、「あの時やっておけばよかった」と、後になって悔やみたくない。この記事を読んでいる若い人も、やらなかった後悔を意識してほしいです。
ただ、、
ーただ?
やり切って死ぬよりも、高すぎる目標に挑んですべてやり切れない後悔の最中で死にたいとも思っています。以前、家にいるといきなり過呼吸になったとことがありました。会社が順調に成長していて、来期の目標も達成できるとわかった瞬間、自分の未来に絶望してしまったんです。ゲームで必死に強い敵を倒していたら、クリアが見えてしまって、全部クリアしたあとのドラクエのレベル上げのような「人生の虚しさ」みたいなものが異常に怖くなった。あれ以来、実現できるとわかっている未来よりも、今のままでは絶対に実現できない未来に挑戦したいと思うようになりました。
違和感を抱いたら環境を変えることも恐れない
─後悔の中で死にたいというのは、はじめて聞きました。中野さんが流通革命という大きな野望に挑まれるのもなんとなく理解できました。では、超20代を見ている学生や、若いビジネスパーソンたちに中野流のアドバイスはありますか
居場所を変えることに慣れたほうがいいと思います。わかりやすく言うと、一旦は興味があって入社しても、「ここは違う」と感じたら環境を変えていいということ。私の印象では、一箇所に留まって頑張ろうとする人が日本人には多いんですよね。自分にマッチする会社ならともかく、違和感があれば転職する選択肢も考える。せっかく頑張るのであれば、自分が「本当にできる!」という自己効力感をもてる場所で頑張るのが大切だと思います。
─環境を変えたほうが良いケースもありますが、時には踏ん張らないといけないタイミングもあると思います。バディカでそういう社員がいた場合はどうしますか
基本的には引き留めないですね。もちろん、必要な場合は社員と話をしますし、「ここは頑張りどころだね」というケースも中にはあります。ただ、本人が「なんか違うな」と本気で思っているなら引き留めません。そもそもバディカは起業を推奨している会社ですし、すでに3人が独立していきました。また、ジョブホッパーについて否定する人もいますが、自分の人生は自分のものです。繰り返しになりますが、やらずに後悔するより行動したほうが良いと思います。
変化を恐れず、後悔しない選択をし続ける
─中野さんご自身も「違う」と思ったときは感情に従って行動してきたのでしょうか
若い頃から素直に行動しています。私は20代の前半まで建築現場で働き、当時の年収は500万を超えていました。しかし、生涯年収の天井が見えてしまう仕事に夢を持てず、不動産の営業職に転身したんです。そこでの成績は良かったものの、様々なトラブルに巻き込まれてしまい、中古車販売のビッグモーターに転職しました。その後、会社の方針が理想から大きく逸れたのをきっかけに、バディカの創業を決めたんです。基本的には、「違うな」とか「こっちへ行きたい」という感情に逆らった記憶はありません。
「私が好んで使う言葉が、“変わらないのは変わり続けること”。その瞬間ごとの最適解を信じ、バディカも私も変化し続けていきます」
─経営者となった現在も、身軽な感覚は変わらないままなのでしょうか
まったく変わっていません。2023年は創業から6年ですが、すでに3回もブランドロゴを変えてますし、いま4回目の変更を計画中です。また、会社の核となるミッションも、実は年に1回は変わり続けています(笑)。時代とともに顧客ニーズや市場が変わりますから、ミッションの変化と最適化は必要だと思うんです。企業の感覚としてレアなのはわかってますが、面白い会社として変化し続けていきます。若い世代のみなさんも、違和感から目を背けずに行動してみてください。
ー自分の課題から目を背けないこと、違和感に蓋をして正当化しないこと。強烈な当事者意識をもちつつも、社会や会社が決めた常識やルール通りにハマらない異端児力が中野氏の魅力のひとつ。本心に嘘をつかず、自分に忠実に生きる。情報過多の現代こそ中野氏のようなブレてるようでブレない生き方が求められているのではないだろうか
会社名 | 株式会社BUDDICA |
住所 | 香川県高松市六条町187-1 2F |
代表 | 中野 優作 |
設立 | 2017年6月 |
Web | https://www.buddica.jp/ |