株式会社LUFTホールディングス|南原 竜樹

日常の中に埋もれるのではなく、積極的に非日常へ飛び込んだほうがいい。あらゆるきっかけは、行動の中で機会を見つけること。経験こそチャンスである。

有名大学を出たわけでもないし、特別なスキルがあるわけでもない。そんな自分に自信が持てず、将来を不安視する人は一定数います。しかし、株式会社LUFTホールディングス会長の南原竜樹氏も、決して特異ではない学生時代を過ごしたのです。20代で自ら事業を手がけ、年商100億円までに成長を達成した南原氏に話をお聞きしました。

南原 竜樹(なんばら たつき):1960年 岡山県生まれ。20代で始めた外車の並行輸入ビジネスで年商100億円を達成。一時は国内のフェラーリ販売シェアの50%を占め、外車といえばオートトレーディングルフトジャパン(現:株式会社LUFTホールディングス)と言わしめるほどに会社を成長させた。人気番組「¥マネーの虎」(日本テレビ系)の「冷徹な虎」として人気を博す。

非日常を味わうことで知らなかった価値観に触れる

─学生時代の経験で、南原さんの価値観や思考が変化したことはありますか

1970年代としては珍しかったのですが、学生時代から頻繁に海外旅行をしていました。旅行会社に勤めていた友人のお姉さんが、直前キャンセルの代わりをブッキングしてくれるんです。各国を旅行することで、たくさんの非日常を経験してきました。国内にも刺激はありますが、基本的には日常から抜けられないと思うんです。

─日本を出ないと得られない刺激や気づきは若い世代にもおすすめでしょうか

それは間違いありません。タイでもヨーロッパでも、一歩でも外へ出ると確実に触れることのできない非日常があります。そこで何を感じるかは人それぞれですが、若いときの刺激は人生のヒントに遭遇することもある。少なくとも、国内では感じられない「なにか」に触れる機会は、若いときほど経験したほうが良いと思います。

ビジネスに必要なものはDNAではなく経験値

─社会に出て役に立つものは、必ずしも学校で学ぶ勉強だけではないということですね

私はずっと理数系なんですが、学んだことを社会人になって使うことはほとんどありません。しかも、勉強や受験というのは筋トレと同じだと思うんです。継続性が結果になる。例えば友人に本を貸すと、受験勉強で鍛えられた人たちは翌日には返ってきます。ところが、勉強慣れしてないと読む行為がストレスになってしまい、最後まで読み切る継続力がないんです。

ですから、幼少期から成績がよかった友人たちは、教授だったり事業だったりと成功していることが多い。一方で、ずっと成績の悪かった人は、同窓会で話を聞いても何をしているのかよくわかりません。これは、私の唱える「南原DNA論」に当てはめてもすべて共通しています。私がタイガーウッズの10倍トレーニングしたところで彼を超えることはできないわけです。体格も筋力も持久力も違うように、脳みそもDNAで決まると思っています。

「勉強やフィジカルとは異なり、ビジネスセンスは本人の行動量で磨くことができる」と語る南原氏

─ビジネスに置き換えると、そのDNAや本人の持つ素地はどう影響するのでしょうか

そこがポイントで、ビジネスに限っては本人次第でDNAを超えられると思います。例えば、ラーメン好きが高じて年間300食を食べ歩いた友人がいます。そこで彼は究極の味を生み出し、ラーメン業界で大成功したのですが決して学歴があったわけではありません。ですから、ビジネスに関してはDNAは関係なく勝負できます。仮に難しい計算や専門的な知識が必要になったのであれば、優秀な人と組めば良いだけですから。

若いときこそ意味のある経験と積極的に触れるべき

─これから新社会人となる学生や、20代の人たちに南原流のアドバイスをお願いします

20代でしか経験できないことというか、20代だからこその挑戦をしてほしいです。例えば、現在の私やあなた(聞き手:40代)が英単語を100覚えても、95個ぐらいあっという間に忘れますね。ところが若いときのインプットって、年齢を重ねても覚えていることが多いんです。

例えば、若い頃ゴルフに打ち込んだ人は、歳を重ねてもフォームやスコアが安定しています。たとえブランクがあっても、後から始めた私では少しも追いつけない。若いときの吸収力というのは大人とまったく違うんですね。ですから、興味のあることを含め、縁があれば積極的に経験しておくこと。その経験をビジネスに活かせば、学歴すらひっくり返すレバレッジになることもありますから。

─南原さん自身、若い頃に学んでおけばよかったと思うことはありますか

私がやってきた事業を思えば、語学はしっかり取り組むべきだったかもしれません。稼ぐのはそこそこ得意でしたので、お金やある程度の時間なら捻出できたはずなんです。さらに、javaやPythonなどのプログラミング言語をもっとしっかり学んでおけば、ビジネスに活かすこともできたでしょうし。現在の3倍ぐらいの語学力と、ある程度のスクリプトが組めるエンジニアの土台があれば、10倍はスケールできたんじゃないかなと思います。

転職は自分を守るためにも重要な選択肢のひとつ

─最後に、責任感や不安から転職に悩む若い人も多いですが、南原さんからアドバイスがあればお願いします

そもそもボタンのかけ違いというか、「入ってみたら想定した会社ではなかった」というケースは普通にあると思います。ところが、入社した以上は逃げるなとか、がんばって働けという呪縛もあるかもしれません。でも、心から違うと感じているなら、我慢せず逃げたほうがいいというのが私の考え。一度でも鬱病になると症状を繰り返すし、転職しても再発するケースが多いんです。

「自分と対峙し、心から違うと感じるなら積極的に転職をしたほうがいい」

─責任感とは切り離して考えたほうが良いということでしょうか

仕事というのは楽しいことばかりではないし、好きな世界でも苦労や悩みがないわけではありません。ただ、好きな業種であっても「ここは違う」という反応は、別の問題として捉えたほうが良いです。また、転職は向いている仕事に出会う機会でもあるし、将来的には昇給できる仕事もたくさんあります。ですから、自分の健康と未来を守るためにも勇気を持って転職してほしいと思います。

マネーの虎では冷徹な虎として知られた南原氏。仕事に必要なものを尋ねたところ、「経験値」という回答だったのを意外に感じた人もいるのではないでしょうか。しかし、氏は常に車に向き合い、車のことを考え、車に費やしたすべてが事業の成功に繋がったと断言しています。これは多くの方が取り入れやすい思考であり、活かせる指針にもなるのではないでしょうか。

会社名株式会社LUFTホールディングス(英語表記:LUFT HOLDINGS inc.)
旧社名)オートトレーディングルフトジャパン株式会社
住所東京 :東京都港区西新橋1-5-9 ル・グラシエルBLDG.70 2階
名古屋:愛知県名古屋市東区東桜2-3-7 東カン名古屋キャステール 1階
代表南原 竜樹
設立1988年2月12日
Webhttps://www.luft-hd.co.jp/
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